従来の服飾メーカーが「ファッションによってブームを作り出そう」と、自らの個性を主張する方法とはまったく反対のアプローチで、
「あらゆる人が良いカジュアルを着られるようにすること」をブランドコンセプトとし、服とはいわば汎用部品であって、個性は服にではなく着る人にあり、着る人が自分で組み合わせて、はじめてその人の個性を表現できるとの思想のもと、
自ら企画し生産したブランドを自ら運営する店員の教育を徹底した高感度の高い自社小売店舗で販売するというビジネスを作り上げ、「主役はお客さま。自分たちはお客様のサポーターであること」を明確にし、「価格」「品質」「接客」に至るまで、すべてお客さま中心に組み立てました。
ユニクロは、「新しい意識を持った人たちに自己実現をサポートする」道具として自らのブランドを位置づけ、多くのファンをひきつけています。
吉田吉蔵がたった一人で創業した「吉田鞄製作所」は、現在は社員百人売上百数十億円のカバンメーカー「株式会社吉田」へと成長しています。
「吉田」は、「一針入魂」というコンセプトのもとに、無理な量産体制はとらず、丁寧な仕事を心掛け、ユーザーが納得する商品開発を行なっています。
「吉田」のかばんはすべて国内で製作しており、バッグの素材地はもちろん、パーツにもこだわり、ファスナーやスナップボタンはメーカーに別注したり、金具は金属の配合成分を変えて強度の高いものを注文しています。修繕が必要になった場合には可能な限り対応しており、「吉田カバン」は10年以上ユーザーに使われている例が多いといわれます。
品質の高い商品を市場に提供する会社だと納得すれば、人は「吉田」を望むようになります。つまり、「吉田」は顧客との間で約束を果たし、信頼を勝ち取った結果「吉田カバン」がブランドとなったのです。
「吉田カバン」は現在広告を一切行なっていません。旅行にはかばんが必須であり、街遊びにもかばんは必須です。品質やデザインに優れ、アフターサービスもしっかりしている吉田カバンは、雑誌における旅行特集やかばん特集になくてはならない商品ということになります。つまり、パブリシティ活動で差別化をしているのです。
かばんは手に馴染むにつれて愛着がわいてきます。単なるかばんではなくなります。長く愛されることで、ユーザーのその時々の思い出がカバンに詰め込まれることになります。強いブランドはユーザーの体験とともにあるのです。
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